KUWAI HANA

Between Emotion and the Laws of Nature
VOTIVE 05

龍台

KUWAIHANA
CONTEMPORARY ART

BODIES
VOTIVE SERIES

BETWEEN EMOTION AND THE LAWS OF NATURE

VOTIVE

龍台

THE ART WORK

KUWAI HANA — BODIES

龍台

VOTIVE SERIES
ORIGINAL ART WORK

STATEMENT

作品について

龍台

日常そのものの中に、アートが存在している状態をつくること

UNDULATION において、龍、あるいは龍神は、極めて重要な主題のひとつである。本作は、これまで〈 DRAGON 〉というカテゴリーの中でさまざまなかたちへと展開してきた龍の存在を、あえて明確な身体をもつ立体造形として、この世界に出現させようとした作品である。

細い金属パイプをいくつもの短い断片に切り分け、それぞれにわずかずつ異なる角度を与えながら接合することで、龍が身体をうねらせ、とぐろを巻き、暗闇の中から天へと昇っていく姿を形づくっている。ひとつひとつの断片は独立した金属片でありながら、連結されることで途切れることのない運動を生み、硬質な物質の内部に、柔らかな生命の流れを宿していく。

連続するパイプの継ぎ目は、龍の鱗であると同時に、時間の堆積でもある。切断し、角度を定め、溶接するという行為が繰り返された痕跡は、そのまま龍の身体を構成するリズムとなる。金属の表面を走る光は、見る者の位置や周囲の明るさによって絶えず変化し、静止しているはずの龍に、今まさに身をくねらせているかのような動きを与える。作品をかたちづくる物質、制作の時間、身体的な反復がひとつに重なり、上昇する生命の軌跡として立ち現れるのである。

私は子供の頃から、龍にひどく惹かれてきた。同時に、龍のほうからも、なぜか私を見つけ、好いてくれているように感じてきた。私が龍を求めるだけではなく、龍もまた私を呼び寄せる。その相互的な引力は、私の記憶や感覚の奥深くに長い時間をかけて根づき、作品世界を形づくる源泉のひとつとなっている。本作には、龍という目には見えない存在への畏敬と、幼い頃から続く私的で親密な結びつきが込められている。

龍は、地上と天上、水と空、物質と精神、日常と神聖といった、異なる領域のあいだを自在に往来する存在である。本作における龍のうねりは、単なる身体の形態ではない。それは世界の異なる層を結びながら上昇していく力の流れであり、人間の知覚を超えた場所へと向かう祈りの軌跡でもある。暗闇は龍の姿を覆い隠すものではなく、むしろその存在を呼び起こす空間である。深い闇の中で金属の鱗だけが光を受け、龍神は沈黙のうちに姿を現す。

一方で、本作は鑑賞するためだけの彫刻ではない。上部に花器や植物などを置き、花台として日常生活の中で使用することも可能であり、ファニチャーとしての性格を併せ持っている。しかし、ここでの機能は彫刻に付け加えられた補助的な要素ではない。人が作品に触れ、何かを置き、暮らしの中で使い続けることによって、作品と生活とのあいだに新たな時間と関係が生まれていく。その関係性までを含めて、本作は完成していくのである。

花を支える台として使われるとき、龍は大地から伸び、植物の生命を天へと運ぶ存在にも見えてくる。花は季節とともに移り変わり、やがて枯れ、別の花へと置き換えられる。その変化を受け止めながら、金属の龍は変わることなくそこに在り続ける。儚い生命と持続する物質、自然と人工、用途と象徴がひとつの空間で交差することで、作品は固定された意味から解放され、日々異なる表情を見せ始める。

美術館やギャラリーの中だけにアートが存在するのではなく、生活の中に、最初からアートが存在している状態をつくること。それもまた、「アンドゥレーション」が担う大きな使命のひとつである。アートを日常の外側にある特別なものとして隔離するのではなく、花を飾ること、ものを置くこと、同じ空間で時間を過ごすことの中に組み込んでいく。作品を見ることと使うこと、鑑賞と生活との境界を曖昧にし、日常そのものを静かに変容させていくのである。

暗闇の中で身をくねらせながら天へと昇る龍神は、神聖な存在でありながら、同時に人の暮らしの傍らに立つ存在でもある。超越的なものと日常的なものを分けるのではなく、ひとつの造形の中で共存させること。本作が目指しているのは、龍神を表現することだけではない。龍神とともに暮らす空間をつくり、日常の内部に、目には見えない世界へと通じる入口を開くことなのである。

◯ 高さ : 860mm

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