
THE ART WORK

STATEMENT
作品について
自画像
虚無への供物
かつて命を宿していた木と、はじめから命を持たない金属。その二つを一本の柱に結び合わせた、UNDULATIONの原点となる作品。
高校二年の夏、中井英夫の『虚無への供物』を初めて読んだ。その衝撃はあまりにも大きく、以来「虚無とは何か」という問いが、私の心の底から離れることはなかった。
およそ十年前、この作品に取りかかったとき、その言葉はなぜか自然と頭に浮かんでいた。物語をなぞったわけではない。漠然としたイメージのまま、虚無というひとつの言葉が制作のすべてを導いていたことを、今でもはっきりと覚えている。
素材は杉と金属。杉の表面には、銀を用いた特殊塗料を施している。生きていた有機の木と、一度も命を持たなかった無機の金属。そのハイブリッドが、なぜ「虚無への供物」と結びついたのか、正直に言えば今もうまく説明できない。それでもこれは、私なりの虚無への供物の、ひとつの具体的なかたちなのだと思う。
それから十年。さまざまな経験を重ねるあいだも、虚無は常に私の傍らにあった。そして数ヶ月前、ふと気づいたことがある。虚無への供物をテーマに作ったこのオブジェは、実は私自身の自画像だったのだ、と。その結論に至ったとき、長く抱えてきた問いが静かに腑に落ちた。
VOTIVEとは、奉納、捧げものを意味する言葉である。この名は、虚無へ捧げられたこの一本の柱そのものを指している。そしてVOTIVE 01は、UNDULATIONの第一作であり、そのすべての発想と思想が始まった場所である。
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